戦略的涙は流しちゃだめよ条約


"タスケテ"
と、誰へともなくつぶやいてみる
もちろん返答はない
オレは、アホやな
と、自嘲する



イチョウの葉が色づく
緑と黄のグラデェショナル


落葉をはき集めるほうき
サーーッ、と、はくほうきの動きが速いか
吹き過ぎ行く秋の寒風が速いか


春の風、桜
夏の風、潮
秋の風、
冬の風、


吹きすさぶ
恋人達が寄り添いながら


あなたがアタシに迷惑をかけるのはある程度ゆるすけど
あの人を困らせるようなことはゆるさない
という言明のこれ見よがしな意図


糸で
特別な糸でつながっているという
淡さ


泡は
生まれた泡はいつか消える
シャボン玉は
確かにあのシャボン玉は
ボクの家の屋根の高さを超えても
まだなお、消えなかった


でも
その透明な玉は、
風に流されて
ボクの家の屋根を跳び越えて
もう見えない
ボクは見なかった
確かに、玉には、終わりはなかった


たまには
人と一緒にいるのもいいことだろう
特に、その人に温かみを感じられるのなら



"タスケテ"
と、誰かの声が聞こえた


秋の風のいたずらか