シェルター

逃げ場所があるうちはいいし、それを保持していること・保持してしまうことを何かしら後ろめたく感じる必要もない。もっとも、逃避している自分を眺めることは、心地よいことではないし、むしろ、自己の至らなさを嘆き、自己嫌悪を感じてしまうこともあるだろう。
しかし、その自己嫌悪なり何なりによって、また、自分を高める契機がつくられることもあるし、それ自体が契機にもなることを軽視してはいけない。緩衝地帯に(逃げ)戻ることは、単なる後退ではない。前進に向けての補給であり、新たな力や動機付けを蓄えることでもある。
逃げ場所を持たない人の緊張や恐怖や覚悟の存在を前にした時・想像した(できた)時、逃げ場所を持っている人は、その場を大切にするべきであることに、少なからぬ希望を持つかもしれない。