これは、どうしてもかかれなければならなかったエクリチュール

私たちには、いつかおとずれる時があるが、それは、いつか、であって、今日、でも、昨日でもなかった。
いつかおとずれるものが、すでにおとずれていた経験とは、このいつかおとずれるけれど、まだこない、という確信を揺さぶられる経験だ。
しかし、なお、私たちはそのいつかを、自分のものにはしていない。
それゆえに、確実に何かを失う、過ぎていく今は、彼にとっての何なのか。送り届けてしまった私たちの言葉や、送り届けられなかった言葉を思いながらも、もう贈る宛先を失ってしまったことを、この経験は強いている。