(公衆電話、仮面の乗客C、乗客Cの携帯電話へ)
仮面の乗客C「お前には分からないだろうが、私はお前に取ってかわられた。本当なら私がお前だった。しかし、突然に、被複写体である私からお前が複写された。しかも私が被複写体であるにも拘わらず、IDはお前に移行した。私は、私だったはずのお前ではなくされた。私はもはや、ヘリにも乗れない。お前としてネットすることもできない。私は、もはや何者でもなくされた。これは必ずしもお前のせいではない。お前もじきに私のようにされる。」
(受話器をおき、扉から外に出る。公衆電灯の一つが断末魔の点灯を繰り返す。いらつきから、憂さを晴らすため、変電圧システムに潜り込み、その電灯を焼き切る。後ろを振り返り進み出し直ぐに止まる。コピーされた内の一つの電灯を焼き切る行為は、コピーしコピーされた自分が焼き切られる可能性を想起させ、自らの行為を後悔した。)