songeC「レーヴ、私と貴女は違う。」

嫁さんがダーツを一人黙々と消化している間に、ボクは個室でマンガを読んでいた。
どこに体重をかけて、どんなバランスで、どこを動かさずに、どこに力を入れればいいのか教えてくれたのだが、ボクには元来身体を動かす才能がなく、ボクが諦める前に賢明な彼女の方が先に諦めてくれた。

songeC「私は、地下鉄に乗ったんだ。そして、その車両の中で一番不幸だという根拠のある自信があった。そんなことを考えていたことは覚えている。でも他のことがほとんど思い出せない。あれのせいでそうなってしまったけれど、あれのおかげでこうなれた。塞翁が馬はG・Eで終わるのか、B・Eで終わってしまうのか、それが徐々に怖くなってきた。」

ボクには点々と記憶はあるのだけれど、まるでその間を繋ぐ線は引けそうにもないくらいに個々の印象がなくて、それでもボクの人格はのっぺりと確固とした一つのものに凝縮できるような不可思議な感触で留まっているのです。ある明るいスポットライトの次に無色の長い暗転が差し込まれて、唐突にさらに次のスポットライトが当てられて、気づくとまた暗転に入っているけれども、そのほとんど意味のない舞台にボクはずっと立ち続けている確信がある。

songeC「誰も私をそこから降ろしてくれないのです。そして降りた記憶はないのに、私は今ここに居るのです。」