砂時計C

「一つだけ教えておいてやる、お前はまだ子供だからわからないだろうけどな。世界では嘘は一つしか許されないんだ。フィクションも嘘が二つ以上あるともう茶番。優秀なSF作家はそのことをよくわかっている。だから、市民は政府の不誠実を許さないんだ。世界…

ボクが人格なのかしきたりなのか迷信なのか構造なのか骨格なのか他の何かなのか、どれもしっくりこなくなってきて、そういう疑いを抱いているパフォーマンスをしているだけだと信じ込ませようとしている人格が存在するんだと言い聞かせて実際そうなのだと納…

仮面C「」 NakedC「」 NakedC「」 NakedC「上手くいかない」 仮面C「チャンネルが合わない」 仮面C「罪のこわさは。それが埋め合わせされないということです。」 NakedC「償いが与えられないということですか。」 仮面C「大きく言えばそうでしょうね。」 Nak…

ボクC「ボクが何に怒ってあの態度をとったのか、分けも聞かず自分の言いたいことを言って消えてしまった」 悲しいし悔しいけど涙はでないし、とりあえずアレルギー性結膜炎で処方してもらった目薬を差してリアリティーに花を添えよう。 ボクC「ただ、ボクが…

ボクは電話をするのが怖かった。 どんな調子で話し始めればよいのか想像がつかなかった。 ボクの名前を忘れてしまっているかもしれないし、知らないかもしれない。昨夜までは、こう言おうと思い浮かんでいたことがもう今になってはどこにもヒントさえなく、…

songeC「レーヴ、私と貴女は違う。」嫁さんがダーツを一人黙々と消化している間に、ボクは個室でマンガを読んでいた。 どこに体重をかけて、どんなバランスで、どこを動かさずに、どこに力を入れればいいのか教えてくれたのだが、ボクには元来身体を動かす才…

尊敬している素振りをして、「偉そうなこと言っててもあんたの言ってることやしてしまったことは哲学的に赦されないことなんだよ」という主張しか返していないという、それはただ単に否定というよりももう二三歩は質の悪い冗談でしかない振る舞いではありつ…

もし、高度10万メートルから「そーっと」落ちてこられたらそんな素敵なスカイダイビングはないな。 水滴が落ちるのよりもゆっくりと。 クリスマスプレゼントであげようと思っていたものが、延び延びになって誕生日プレゼントになってしまうのとはまた違った…

世界をもう一度はじめからはじめるためにボクC「車に乗ることは人が確率論的に車社会に殺されることを緩やかに肯定することだ。」 「だからボクは車を運転しない」 「馬鹿にするやつを小馬鹿にする」 「人の命はこの星の重さより重いから」 「人の命は、車が…

音楽がとまってびっくりして目が覚める。 そう、ボクはまだ眠ってはいけなかったんだ。 4:13 5時間待ったがまだ来ない。 いっぱい食わされたんだ。ボクは手元のPCをタイプする。Aは悲鳴、Bは怒り、Nは諦め。 僕の左の小指はAをたたきすぎて悲鳴を上げ…

留守番電話機能がけたたましいサイレンとともに起動する。 観察者C「もしもし、聴いているんだろ。時間がないんだ受話器をとれ。」 しばらく電話機を観察する。光っている。赤く。旧型の記録テープが回る音と受話器の向こう側の雑音が聞こえる。私は受話器…

観察者C「もし助かる可能性がある方法を試せるのと、試せないのと、二つの選択肢をキミと分け選ばなければならないのであれば、僕はキミに可能性を試す方の選択肢を選んで欲しい。僕の人生は擦り切れて十分に使い込んだ。自分の責任で選んだ人生の結末が今…

アンリ「ハグハグしてください」あの時、生まれたばかりで瀕死の仔犬だったのにいつの間にかワンパクな娘さんになってしまいましたね。飼い主が生きるか死ぬかの人間関係のなかで精神をすり減らしているときに、行かざるをえなかった獣医院の清潔感は今思い…

無知で調教された象の泣き声は、お守りの鈴の音よりも小さい。彼女が祖父母よりも寿命が短いと聞かされて、家路ですれ違うすべての人がボクより幸福に見えた日。ボクは確かに何かを失っていた。病気の彼女を捨てたボクは、普通に仕事をし、ラウンジで酒を呑…

「生まれ変わったら何になりたい?」 「私は君になりたい」「君には私になって欲しい」「お互いの苦しみ喜びを本当の意味で理解し合えると思わない?」

ぼく「経験から得られるのは正しい道ではなく、無難な道」

「ぼくはキミに信頼されて、付き合うことを依頼されたけれど。依頼と言うと、何だかクライアントのようだけど。ぼくはキミの身の上を知ることが恐ろしい時がある。ぼくがキミに信頼されるほどには、キミを信頼していない証拠のようで、吐き気がする。」

ぼくC「気持ちを伝えないことで進める道を進むことにしよう」

「わたしの愛情を心地好く受け取っていてくれる人を探していたんだ」

ぼくC「気の持ちようだと言ってくれた彼女は、Cだったんだろうか」

彼C「ボクがキミをほめたり、ずっと見つめたりしてると、キミは照れて小さく丸めた手で口元を隠して目をそらす。 ボクはその時の表情がたまらなく好きだ。」

観察者C「私は大した女じゃないんです。と彼女が言った言葉を思い出して、新幹線の一番後ろでボクは泣いた。」

彼「キミとは何があっても付き合えないの」彼女「アタシはC。アナタはCじゃないの。わかる?」

彼女C「アタシはC。アナタはCじゃないの。わかる?」

砂でつくったブルジョーの座るいす。 電波の届かない観測所。 氏名の無いホスト。 規則のない音譜。 芸術の届かない街。 この物語の主人公の持ち物彼c「もう謝ったって遅いのさ。ぼくはもう君に夢中で、あきらめることなんてできない」彼女c「もともとあたし…

仮面の乗客C「砂時計には、世代をまたいだ未来はない。自ら、もしくは、まったく不明の理由で主権を剥ぎ取った(とられた(盗られていた))ものたちが、同じ境遇の存在を作り出さないために自縛するシステム。主権側から完全に逃げ切るための場所。」観察者…

彼女C「ワタシたちってこういう世界にいるのよね。お客さんをとったりとられたり」 彼C「じゃあ、こっちも指名するのは、命がけでやらないと、だね。」

彼女C「ダメなの、アタシ明日は仕事があるから帰らなくっちゃ」

彼女C「数多に言葉の可能性があるのに、アタシたちが交わした言葉はあまりにも少なく、しかもアタシはそのほとんどを覚えていない。」彼C「そういって私の目の前で女は地面に沈み、最期には地面そのものとなった。今や女は大地となり、全ての可能性になった…